[ 政治・経済 ]

トランプ氏、証券化規制の緩和検討も−不動産王なら見直しは当然か

(2016/11/14 07:30)

  • トランプ大統領のマトリョーシカ(ブルームバーグ)

(ブルームバーグ)ウォール街のバンカーらは、金融危機の再発防止を目的として近く発効する「リスクリテンション規制」の要件を満たす対応に追われてきたが、ドナルド・トランプ氏が米大統領選で勝利したことで、猶予が与えられると期待している。

トランプ氏の政権移行チームは、2010年に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)の廃止を目指すとウェブサイトに掲載した発表文で明らかにした。S&Pグローバル・レーティングのストラクチャードファイナンス・リサーチ責任者ダレル・ウィーラー氏が今週の顧客向けリポートで 分析したところでは、商業用不動産ローンや他の資産を裏付けとする証券化の主体にリスクの一部継続保有を義務付ける規制の緩和についても、目標に含まれる可能性がある。

データプロバイダーのトレップでマネジングディレクターを務めるマシュー・アンダーソン氏によれば、リスク保有を義務付けるリスクリテンション規制は、オフィスビルやホテル、他の不動産の資金調達コスト上昇につながりかねず、不動産王のトランプ氏には見直しに動く十分な動機が存在する。ローン担保証券(CLO)やレバレッジドローン市場も規制の撤廃によって恩恵を受けると期待される。

ウォール街は過去6年にわたり12月24日に発効するこのルール導入に抵抗を続けてきた。バンカーらが規制対応の準備に追われる中で、今年1−6月の商業用不動産ローン担保証券(CMBS)の販売は50%近く減少した。

アンダーソン氏は「トランプ政権はあらゆる業界の規制負担軽減に大きな関心を持つと予想され、その一つが銀行であることは言うまでもない」と指摘。ただ、リスクリテンション規制緩和が優先課題リストの上から何番目にあるかは、はっきりしないとしている。

ドッド・フランクはぶざまな失敗事情を直接知る関係者の1人によると、トランプ陣営は金融監督機関のトップの人選に向けて、米証券取引委員会(SEC)の元委員でドッド・フランク法に批判的なポール・アトキンス氏に協力を求めた。議会上下両院で引き続き多数派を占める共和党も、ドッド・フランク法の撤廃に関心を持っている。

米下院金融委員会のヘンサーリング委員長は、ブルームバーグテレビジョンとの6月のインタビューで、「ドッド・フランク法は失敗だった。それもぶざまな失敗だった。お払い箱にする必要がある」との考えを示していた。

原題: Wall Street Hopes Trump Makes Structured Finance Great Again (1)(抜粋)

(2016/11/14 07:30)

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