[ 機械 ]
(2016/11/14 18:00)
3DプリンターはプラスチックやABS樹脂、金属粉末などの材料を積層させて立体を造形していくものだ。海外ではアディティブ・マニュファクチュアリング(Additive Manufacturing=AM)と呼ばれる。設計者やデザイナーがイメージしたアイデアを樹脂や金属で立体造形することができる3Dプリンターの登場はモノづくりのプロセス、デザインや設計に対する考え方を大きく変化させる可能性を持っている。
プラスチック・樹脂・金属まで・・・ イメージを即座に立体造形
3Dプリンターは大量生産に入る前の製品デザイン、機能、構造、応力解析や組み付け、質感などを確認するための試作品で使用されているケースが多い。最近ではプリンターの性能向上や材料技術の向上で、完成品、市販品の生産にも使用する例が増えてきた。
プラスチックや樹脂を材料に使う3Dプリンターの基本原理は熱で吐出器のノズルからフィラメント状の材料を射出。少しずつ積層、硬化させ、3次元データ通りに造形していく。樹脂などを材料にするものではこのほかに細かい粒子状の樹脂をノズルから噴射し、紫外線照射で液体樹脂を固めながら積層していくタイプもある。また材料ではこれまで困難だったエンジニアリングプラスチックで造形できるものも登場している。
一方、金属3Dプリンターは従来の技術で不可能だった幾何学的構造も容易に加工することができる。金属粉末を材料に利用して、粉末をレーザーや電子ビームで溶融、固体化させ、層を積み重ねるという加工プロセスで立体に造形していく。
金属積層3Dプリンターで出力した場合、これまで複数の加工部品を組み合わせて作っていたものを一体造形することが可能だ。その結果、部品強度を向上させるだけでなく、工程やコストの削減も実現する。
現在、普及拡大しているのは金属の積層造形機能とミーリング加工する切削機能を併せ持つハイブリッドタイプ。放電加工が必要な深溝加工や工作機械で加工が困難だった複雑な形状の樹脂用金型などをワンプロセスで加工することができる。
プリンター、材料ともに性能が向上してきたことを背景に欧米では金属積層3Dプリンターを利用した自動車部品、航空機、宇宙ロケットなどの部品生産が行われている。そうした中、求められているのが製造品の強度や寿命といった品質面の保証だ。金属3Dプリンターによる受託造形事業を手がける金属技研ではこうしたニーズに応えるため、2016年度中に粉体流動性分析装置のほか、酸素・窒素分析装置、蛍光X線分析装置などを導入して市場のニーズに応えていくという。
3D Printing 2017 17年2月、東京ビッグサイトで開催
3Dプリンターは身近なものになってきた。しかし、実際に造形を行う場合、材料や設計、データ作成、造形物が持つ特性などについての知識やノウハウが必要。また、プリンター性能にマッチしたデータ修正を行う必要もある。3Dプリンターの導入する前に、特性などを理解しておく必要がある。セミナーや展示会の参加はそのための有効な手段だ。
16年1月、東京・有明の東京ビッグサイトで開催されたJTBコミュニケーションデザイン主催の展示会「3D Printing 2016」には3Dプリンティングに関連するメーカーの最新機器、材料などが展示された。主催者の発表では同時開催展の来場者を含み、会期3日間で約4万8000人が来場。各社ブースはにぎわいをみせ、セミナーも活況を呈した。
次回の「3D Printing 2017」は17年2月15日から東京ビッグサイトで開催される。3Dプリンターやスキャナー、3次元測定器、試験装置といったハードウエアから、樹脂や金属材料、3Dグラフィックや造形、シミュレーションなどのソフトウエアにいたるまで、新製品や新技術が紹介される。同展の開催概要などについてはJTBコミュニケーションデザイン内の3D Printing事務局(03・5657・0760)へ。
(2016/11/14 18:00)