[ ロボット ]
(2016/11/22 05:00)
機械加工の領域で、産業用ロボットの台頭が著しい。東京・有明の東京ビッグサイトで開催中の日本国際工作機械見本市(JIMTOF2016)では、工作機械メーカー各社がロボットを活用した自動化システムを積極的に提案。これまで以上に踏み込み、ロボットとの融合を図っている。またロボットメーカー側から見ても、加工関連の用途は有望な開拓先。新製品、新サービスで、機械メーカーやユーザーの要望にどれだけ応えられるかが見どころだ。(4面参照、藤崎竜介)
DMG森精機は、2017年に国内投入予定の自動化パッケージ「ロボ2ゴー」を出展。複合加工機「NZX2000/800STY3」に、可搬質量20キログラムの多関節ロボットがワーク(加工対象物)を供給する様子を、披露している。レーザースキャナーの働きにより、人が近くを通るとロボットが減速し、さらに接近すると停止する仕組み。このため、安全柵で囲わずに運用できる。
同社はロボット、レーザースキャナー、供給用のワークを簡単にセットできる専用の架台を提供する。架台は台車などで移動でき、手軽に設置・撤去することが可能。変種変量生産などに対応しやすい点が売りだ。
トーヨーエイテック(広島市南区)は、ロボットによるワーク供給の新しい形を提案している。2台の小型ロボットを、内面研削盤「T―11JB」の上面に設置。「機械の前方にロボットを置くより、消費スペースを省ける。また、トラブルでロボットが停止しても、すぐに人が代わりを務められる」(業務部)という。
ワークのセットには高精度な動作が可能なファナックの「LRメイト200iD」、その前工程には人と協働できるユニバーサルロボット(デンマーク)の「UR3」を配置。各工程で最適なロボットを選定している点も注目だ。
一方、供給側のロボットメーカーはどうか―。ファナックは、小型ロボットなど工作機械の周辺で使う自動化機器を一括提供する『クイック&シンプル・スタートアップ・パッケージ(QSSP)』を出展。「当社以外の工作機械メーカーにも、(パッケージを)利用してもらいたい」(稲葉善治会長)としている。
また、不二越は天吊(つ)り設置で省スペース化効果を発揮する水平多関節(スカラ)ロボット「EZシリーズ」を紹介。工作機械の内部に設置できるよう、防塵・防滴に対応した機種も開発中だ。
“使いやすさ”を重視するロボットメーカーの努力もあり、工作機械各社にとって多関節ロボットは身近な存在になりつつある。活用法においても、各社なりの工夫が目立ち始めた。労働力不足などにより自動化ニーズが顕在化する中、ロボットとの融合は従来以上に重要なテーマになりそうだ。
(2016/11/22 05:00)
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