[ オピニオン ]
(2016/11/28 05:00)
老朽化した社会インフラの維持・管理に向けて産学官が動きだす。国土交通省が音頭をとり、企業や団体、自治体が参画する「インフラメンテナンス国民会議」が28日に発足する。それぞれの積極的な取り組みに期待するとともに、新たな技術・サービス開発を加速したい。
高度経済成長期に整備された大量の社会インフラは、建設後50年が老朽化の目安とされる。今後、加速度的に老朽化する見込みだ。例えば橋の場合、建設後50年以上経過したものは2013年に全体の約18%だった。これが23年には約43%に増える。さらに33年には約67%と半数を超える。トンネルや河川施設、下水道、港湾施設なども同じ傾向だ。
インフラの適切な維持・管理を怠れば、重大事故が発生しかねない。12年12月に発生した中央自動車道・笹子トンネルの天井板落下事故は、その典型だろう。ただ国や自治体は財政事情が厳しく、限られた予算の中でしか対応できない。さらに技術者の高齢化が進み担い手の育成が急務になっている。インフラの維持・管理を巡って課題は山積している。
新たに発足する国民会議は、インフラ問題の改善に向けた一歩となる。期待される活動の一つが、企業間の連携や技術の融合を促すマッチングやオープンイノベーションの機能だろう。
インフラ維持・管理を効率化し、費用を節減する上で、新技術・サービスの開発が欠かせない。建設や測量などの従来企業だけではなく、情報通信やデータ解析、先端材料などの企業が加わることで、これまでにない技術開発の可能性が高まる。
さらに防災分野への展開も考えられる。ただ何より重要なのは、多くの声を集めて現場のニーズに即した“使える技術”を生み出すことだ。
現代社会は、これまで開発一辺倒だったインフラを、丁寧に使って長持ちさせる段階に移っている。国民会議は市民参画の推進も計画している。国民の立場からも、インフラ維持・管理の重要性を改めて考える場としたい。
(2016/11/28 05:00)
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