[ オピニオン ]
(2016/11/25 05:00)
国際的な非政府組織・CDP(英ロンドン)が、各国の大企業の気候変動問題への取り組み姿勢の調査結果を公表した。世界5000社以上の中から日本の22社を最優秀の「Aリスト」に選んだ。これは同リストの約1割にあたり、日本勢が高い評価を得たといえる。日本企業はさらに踏み込んで、環境問題の国際交渉やルール作りでも貢献してほしい。
CDPは企業に質問状を送り、二酸化炭素(CO2)排出量の削減目標などを聞く。この調査は年を追うごとに影響力を強めており、世界827の機関投資家がCDPの活動を支援している。先ごろCDPが東京都内で開いた報告会には日本のAリスト22社中、18社の経営トップを含む役員が登壇。高評価への謝意を表明した。
ただ欧米に目を転じると、高評価の企業は国際交渉などでより積極的に発言している。2015年末に気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を開いた仏パリでは、欧米の大手企業首脳が次々と温室効果ガスの排出ゼロを目指す「脱炭素」への支持を表明。「パリ協定」合意の機運を作った。
またこうした企業は、自社の使用電力を100%再生可能エネルギーにする目標を掲げた企業連合「RE100」にも参加している。アップルやグーグルなど83社が名を連ねるが、日系は電通の英国子会社だけ。
欧米企業の行動原理は、環境問題で優位な立場を獲得することにある。「脱炭素」を掲げる企業は再生エネのコスト低下を見越し、風力や太陽光の発電所を確保している。異常気象の被害を受ける新興国の消費者の好感を得ようとして「脱炭素」を表明した企業もあるという。
世界的には、乱獲や乱伐された自然資源の使用を防ぐための民間組織の認証制度がいくつも生まれている。欧米企業はルール作りを主導する一方で、適切に管理された農園を真っ先に押さえた。競合を引き離す、したたかな戦略といえる。
こうした競争から取り残されないためにも、日本企業は環境問題で積極姿勢を示すべきだ。
(2016/11/25 05:00)
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