[ 政治・経済 ]
(2016/12/16 21:00)
経済産業省は16日、有識者会議「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」を開き、改革の実効性を確保する方策についての中間報告をまとめた。東京電力福島第一原子力発電所事故で、国が一時立て替える損害賠償費用のうち2兆4000億円を、送電線の使用料(託送料金)に上乗せして回収することを明記。新電力が電力を低コストで調達しやすくなる「ベースロード電源市場」の創設も盛り込んだ。一般から意見を聞き取った上で制度整備を進める。
賠償費用の原資のうち、福島の事故まで手当てしていなかった不足分を3兆8000億円と算定。このうち2兆4000億円を、託送料金に上乗せして回収する。上乗せ分を電気料金に転嫁することで、新電力の利用者を含む全需要家が負担する格好になる。2020年に開始し、40年間かけて回収する。電気の使用量が標準的な家庭だと、1カ月の負担額は18円になる。
ただ、新電力の反発が強いほか、政権内にも批判の声があることから経産省は、電力各社に送配電事業で一段の合理化を求め、託送料金そのものの引き上げを食い止める方針だ。
中間報告には競争促進策も盛り込んだ。電力各社に原子力や石炭火力などの低コストな電源でつくった電力の拠出を実質的に義務付ける「ベースロード電源市場」を創設し、新電力が商材となる電力を安価で調達しやすくする。今後、具体的な制度設計を進める。
また、新電力が電力調達先として期待する卸電力市場を活性化するため、異なる地域間で電力を売買しやすくする。具体的には地域をまたぐ連系線を利用する際に適用される「先着優先」ルールを「間接オークション」方式に変更し、競争原理を導入する。
(2016/12/16 21:00)