[ オピニオン ]
(2016/12/29 05:00)
都内にある一見、普通のレストラン。店に入って驚いた。「深いコクを楽しんで」「苦味がクセになります」―。飲み物のメニューにずらりと国内各地のクラフトビールが並ぶ。酒類の市場の多くが縮小傾向にある中で、地域メーカーが醸造するクラフトビールは成長分野だ。中には大手が提携を申し入れて、全国で顧客を開拓するケースも進んでいるという。
人気の理由は多様性だろう。大量生産は手軽でのどに親しんでいるが、その分、驚きは少ない。一方、各醸造所がこだわりを詰め込むクラフトビールは個性豊かだ。政府・与党はビールの定義拡大と、発泡酒などとの税額一本化を決めた。クラフトビールには追い風だ。
苦み、のどごし、キレなどビールの評価基準はいくつもあるが、香りにも注目したい。ワインとは違うが、クラフトビールでもかんきつ系やマスカット風、バナナやマンゴーなど、普通のビールにない香りを楽しめるものがある。
寒い夜には暖房の効いた部屋で、ゆっくり飲み比べてみたい。英国の欧州連合(EU)離脱決定や、米大統領選の“トランプ・ショック”。世界経済の不確実性が増す今、ビジネスチャンスを嗅ぎ分ける力も鍛えられれば言うことなしなのだが。
(2016/12/29 05:00)