(2024/11/21 05:00)
「年収103万円の壁」が見直されれば、労働時間と手取りが増え、個人消費も促されるのだろうか。効果のほどが気がかりだ。経団連の十倉雅和会長は財政に及ぼす影響も含め「よく吟味してほしい」と政府に注文する。
年収が103万円を超えると新たに所得税が発生する。税負担を避けるため労働時間を調整する「働き控え」が問題視され、国民民主党は「壁」を178万円まで引き上げるよう自民・公明両党に求める。
壁の見直しは、基礎控除などを引き上げて行うため、高所得者ほど恩恵が大きい。大和総研の試算(単身世帯)によると、壁が178万円になると、年収200万円の人は手取りが8万円増え、年収500万円なら13万円増、年収800万円だと22万円増となる。
税収が7兆―8兆円も目減りするとされる178万円への見直しだが、減税が高所得者にまで及ぶことが背景にある。壁見直しの恩恵を低所得者層に限定するなど、工夫できないのだろうか。
壁の見直しが「所得の高い層の消費喚起」なら分かりやすい。だが手取りの増加が年数万円にとどまる層で、どこまで消費喚起を期待できるのだろうか。費用対効果はくれぐれも「よく吟味してほしい」。
(2024/11/21 05:00)
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