[ オピニオン ]
(2017/1/1 05:00)
第4次産業革命の概念は、日本の産業界に着実に根付きつつある。2017年は、モノづくりやサービスが電子情報と不可分な関係であることを産業界のすべての人が自覚したい。
IoT(モノのインターネット)という用語は産業界に浸透した。17年は間違いなく、16年以上にメディアをにぎわせるだろう。大手メーカーの広報幹部は「少しでもIoTに関係したニュースを発信しろ」と部下を督励しているという。
ただ、これがブームのように扱われることには警戒が必要だ。実体の有無にかかわらず、すべての事象がインターネットで識別されるという考え方は、電子情報の専門家にとって新しい議論ではない。
現在のインターネットの標準規格であるIPv4は、12ケタの数字列でネット上のアドレスを割り当てる。ネット参加者の爆発的な増加が起きたことで、最大43億個しかないアドレスの枯渇問題に直面した。
この代替となる次世代規格として、IPv6が決まったのが1998年。数字とアルファベットによる32ケタの文字列をアドレスに使う。その総数は1京の2乗の300万倍という。当時、専門家は「全世界の人間の細胞の総数をはるかに上回るアドレスを準備した」などと説明した。先覚者は、早くからヒトに関わるすべてのモノに個別符号をつけることを構想していたのだ。
電算機の演算能力とセンサーの技術が当時の構想に追いついたことで、IoTがようやく姿を現した。この先も長い時間をかけて発展し、ソサエティー5・0と呼ばれる新たな情報社会を形成していくだろう。
現代に生きる我々は、進行中の情報革命の全容を知ることはできない。ただ各自が、IoTによって自社のビジネスをどう強化していくかを真剣に考えることで、日本が世界の最先端に負けない方法を見つけ出さなければならない。
IoTがビジネスと一体化すれば、用語として登場することは減る。そんな時代を、少しでも早く実現したい。
(2017/1/1 05:00)
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