[ オピニオン ]
(2017/1/4 05:00)
2017年の日本経済は、景気が踊り場から緩やかな回復に転じている16年末の流れを受け継いで、成長を加速させていくことが期待できそうだ。政府は実質国内総生産(GDP)で前年度比1・5%増の強気な見通しを立てている。
米国はトランプ次期大統領の経済政策「トランポノミクス」に対する期待感から、ドル安・株高・金利高の「トランプ相場」に沸いている。わが国も円安・株高の恩恵がしばらく続くとみられるなか、人手不足を背景とした雇用所得環境の改善による個人消費の増加、事業規模28兆円にのぼる新経済対策による公共投資の増加など、内需が景気をけん引するだろう。
一方の輸出も米国景気が堅調に推移し、さらに力強さを増すとみられ、回復基調をたどる見込み。中国経済の減速が鮮明になっており、輸出先としての米国のウエートが高まるだろう。
4月の新年度入り以降は、安倍晋三政権が掲げる名目GDP600兆円の目標に向けた「新3本の矢」が動きだす。未来投資会議がまとめる「日本再興戦略」に沿い、第4次産業革命を柱として新たな市場が創出されることが期待され、景気を下支えするものとみられる。
リスク要因はトランポノミクスの行方。期待先行で短期的には景気押し上げ要因だが、中長期的には不安材料でもある。大型減税や大規模インフラ投資で財政が悪化して長期金利が上昇すれば、米国経済が減速するのは必至。そうなれば当然、日本経済にも余波が及ぶ。
また好材料のはずの円安も行き過ぎると輸入物価の上昇を招き、個人消費に冷や水を浴びせることになるため、目が離せない。原油価格上昇が追い打ちをかける危険性も要注意だ。
海外要因で混乱に陥ったとしても、政府は今度こそ成長戦略を完遂し、企業収益の改善、設備投資の増加、雇用所得環境の改善という好循環を実現してほしい。産業界も従来の消極姿勢と決別し、広範な投資を積極化して収益性と成長性を向上させ、日本経済全体を後押しすることが望まれる。
(2017/1/4 05:00)
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