[ エレクトロニクス ]

CES2017/エレクトロニクス新時代

(2017/1/9 05:00)

世界最大の家電見本市「CES2017」では、家電にとどまらずに人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)、自動運転技術などが集結し、エレクトロニクスの未来を垣間見せた。日系メーカーも自社が培った技術や資産をもとに新たな挑戦に乗り出している。(関連記事「深層断面」

パナソニック、エンタメ向けシステムで米国に専門部隊

  • パナソニックは成長が続くエンタメ市場に専門部隊を投入する(CESのブース)

【米ラスベガス=錦織承平】パナソニックはテーマパークやスタジアムなどエンターテインメント施設向けのプロジェクター機器販売について、システム施工からアトラクション・イベント運営まで一貫して元請けする業態に転換する。4月1日付で主要市場の米国で、現地法人内に販売分社「メディアエンターテインメントカンパニー」を設置。販売人員など200人以上を集約し、エンタメ業界向けの専門部隊とする。

プロジェクターを使った映像システムで必要なソフトウエアやスクリーンなどの周辺商材を顧客の近くで開発できるよう日本から米国に開発部隊を移す。

すでにパナソニックは同日付で、企業向け(BツーB)システムを担当する社内分社の組織を再編することを決定済み。従来、分社内で製品別に設けていた事業部はエンタメ、航空、製造、パブリックなど6の業界別事業部体制に移行する。そのうち、エンタメ業界を担当する「メディアエンターテインメント事業部」は従来の機器単品売りから、システムの設計、販売、施工、運営まで一貫して元請けする業態に転換する。

エンタメ業界向けの映像関連市場は世界で約4兆円の規模。年平均6%程度の成長が続く。パナソニックは18年度にエンタメ業界向け売上高で3000億円を目指している。

三菱電機、車線維持システム納入開始

  • 三菱電機の運転者支援システム

【米ラスベガス=錦織承平】三菱電機は2017年度から国内自動車メーカー向けに車線内走行維持システムの納入を始める。カメラで白線の位置を検知し、電動パワーステアリングを制御して、高速道路などの車線内を自動走行する。20年度までに自動駐車や自動ブレーキなどのシステムも量産する。開発済みの運転者支援システムとともに国内外の車メーカーに提案し、車載用システムで20年度売上高100億円以上を目指す。

車線維持システムは白線が見えにくい環境でも独自の補正技術で白線を検知でき、渋滞時は前方車両への自動追従機能と連携して車間距離と車線内走行を維持する。20年度までにリモコン式自動駐車、夜間対応自動ブレーキ、自動パワステ制御といった自動運転システムも量産を始める。

運転者支援システムは車内カメラなどを使って運転者の心拍や居眠りなどの状態を検知するほか、手の動きによるジェスチャーを検出してオーディオやカーナビを操作する。

17年度中にこれらのシステムと、衛星測位技術を使った高精度3次元地図システムとを連携させ、ドライバー監視下で運転責任はすべてシステムが担う「レベル3」の自動走行機能の実証実験を車メーカーと協力して始める。

日産、自動運転車を遠隔操作

  • カルロス・ゴーン社長

【米ラスベガス=杉本要】日産自動車は、人が自動運転車を遠隔操作して迂回路の設定などをする技術を開発した。米航空宇宙局(NASA)の制御技術をベースとし、車載の人工知能(AI)の判断を遠隔地のオペレーターが支援する。完全自動運転車の開発ではDeNAとも提携。新技術の開発で他社と協業を進め、早期の実用化につなげる考えだ。

米家電見本市「CES」でカルロス・ゴーン社長が新技術を発表した。ゴーン社長は「2030年には新車の15%が完全自動運転車になる」と予測。その上で、人がAIを支援する仕組みを残すことによって「自動運転車を早期に普及させられる」と述べた。

新技術は工事中の場所や交通規制時など自動運転が難しい場面で車載AIが判断に迷った場合、遠隔地のオペレーターが代わりに状況を見て、迂回路の設定などをする。NASAが惑星探査ロボットに用いる制御技術「VERVE」をベースに開発した。

一方、DeNAとの提携では、17年内に国家戦略特区内で走行試験を開始。20年までにモビリティ(移動)サービスの実用化を首都圏などで検証する。

ゴーン社長は、18年にも全面改良するEV「リーフ」に高速道路の同一車線での自動運転技術「プロパイロット」搭載することも明らかにした。

(2017/1/9 05:00)

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