[ 政治・経済 ]
(2017/1/11 15:30)
【シカゴ時事】オバマ米大統領は10日夜、地元イリノイ州シカゴのコンベンションセンターで、20日の退任を前に最後の演説を行った。8年間の任期で積み重ねた外交や経済での成果を「みんなと共に成し遂げた」と確認し、法の支配や人権といった民主主義の価値の実現に向けて今後も「変革」に参加するよう呼び掛けた。
「お別れ演説」は歴代大統領が続けてきた慣例だが、大統領の地元で行われるのは初めて。ミシェル・オバマ大統領夫人やバイデン副大統領夫妻も同席した。
オバマ氏は演説で20代からシカゴで活動を始めたと振り返り、「普通の人々が物事に関わり、結束した時に変化は起こることをこの地で学んだ」と説明。8年の任期を経てもそれは変わらないと述べ、国民と共に経済回復に取り組み、イラク、アフガニスタン両戦争を終結させたことなどに言及した。
トランプ次期大統領に対しては「円滑な政権移行を行う」と改めて表明。一方で、移民を受け入れるべきだと強調したほか「私はイスラム系米国人への差別を拒否した」と述べるなど、排他的なトランプ氏の姿勢をけん制した。
さらに米国内の少数派に対する差別に懸念を示し、気候変動問題を否定する動きを批判した。
聴衆らは総立ちで大統領を迎え、「あと4年」と続投を求めるコールも湧き起こった。オバマ氏は、自分を支えてくれたミシェル夫人をたたえながら、ハンカチで涙を拭う場面もあった。
「あなた自身に変化をもたらす力があることを信じるよう、大統領として最後に願う」。演説は、2008年の大統領選のスローガンだった「イエス・ウィー・キャン(私たちはできる)」で締めくくられた。
米調査機関ギャラップの最新の世論調査によると、オバマ氏の支持率は55%で、高水準を維持している。
(2017/1/11 15:30)