[ オピニオン ]
(2017/1/16 05:00)
少子・高齢化に伴う労働人口減少が産業界を圧迫している。求められるのは労働力の減少分を補い、かつ生産性を高めることだ。その手段として、IT活用の真価を問い直したい。
生産性を高める取り組みは、工場などのモノづくりの現場が先行している。日々のカイゼン活動に加え、ITやロボットを駆使した自動化の工夫が至るところでなされている。
これに習う形で非製造部門、すなわちホワイトカラーの生産性をもう一段引き上げようとする機運が高まっている。キーワードは自動化だ。ITを駆使して、定型的な業務や単純な繰り作業を機械的な仕組みに置き換える仕組みが国内外で注目されている。
人手を介さずに自動化する仕組みは海外では「ロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)」と呼ばれている。日本ではあまり例がないが、欧米の大手企業は経理や人事管理などの事務作業を、自国の言葉が通じて賃金の安い新興国にアウトソーシング(外部委託)することで費用を圧縮してきた。ただ新興国の賃金上昇に伴ってコスト削減が難しくなり、RPAを志向しはじめた。
こうした動きは、わが国企業にも参考になろう。日本の場合、外部委託よりも人手不足を補う手段としてRPAの活用が広まる公算が大きい。作業の効率化に加え、人的なエラーをなくすことで仕事の品質を上げる効果も期待できる。
RPAを人工知能(AI)と組み合わせれば、自動化の範囲を広げられよう。しかし現実には、身近な仕事からRPAの活用を検討するのが賢明だ。AIには空想科学小説のような未来社会の要素と、「人間の仕事を奪う」という負のイメージが混在する。労務対策を含めて、RPAとは切り離してとらえる方が導入の近道ではないか。
企業がRPA導入を検討する際には、まずITや機械で代替できることと、人でなければできないことを見極めることが必要となる。人と機械、人とITが共生できる社会を目指すことを、担当者は肝に銘じたい。
(2017/1/16 05:00)
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