[ オピニオン ]
(2017/1/20 05:00)
第193通常国会が20日召集される。安倍晋三首相が「最大の景気対策」と位置づける2017年度予算案を早期に成立させ、働き方改革や成長戦略をこれまで以上に加速することが期待される。
20日はトランプ氏の米大統領就任日でもある。地域や所得をめぐる格差問題は、米国に限らず日本にも共通する課題だ。予算を原動力として、都市部と地方、大手企業と中小、正規と非正規労働者の格差是正を推し進め、経済再生に向けた確かな一歩を踏み出したい。
一般会計総額が97兆4547億円と過去最大規模の予算案で、政府は「一億総活躍社会の実現」に向けた働き方改革や、第4次産業革命を後押しする措置を講じた。女性の活躍促進に向けた保育士の処遇改善、同一労働・同一賃金などに取り組む企業支援なども盛り込んだ。
また第4次産業革命を支える自動走行システムの実証事業、次世代人工知能(AI)とロボットの融合、IoT(モノのインターネット)技術の活用なども予算措置している。
安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、確かに企業業績と雇用環境を改善した。だが地域や企業規模によって景況には大きな格差が存在する。就業者数は増えたが、労働者の4割弱を非正規が占めるなど、質の面ではなかなか改善しない。生活保護世帯も高止まりしたままだ。高齢化の進行も重なり、中間所得層の衰退を懸念するエコノミストは少なくない。
政権は少子高齢化に歯止めをかけつつ、低い潜在成長率を引き上げる構造改革を実現し、中間層を中心に所得全般を底上げする必要がある。17年度予算の円滑な執行を手始めに、年央にまとめる新たな成長戦略にも踏み込むことで格差問題を改善していきたい。
米トランプ新政権は、移民政策や保護貿易によって雇用を創出することで格差社会の是正を目指す方向を示す。日本は自由貿易の旗を振るだけでは不十分だ。構造改革の着実な実行は、視界不良な世界経済への対応力を高めることになるはずだ。
(2017/1/20 05:00)
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