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(2017/1/26 05:00)
十大新製品賞は技術の秀逸性だけでなく、販売実績など実用性を兼ね備えることが選考基準となっており、この種の賞としては現在、最も権威ある賞として認識されている。「2016年(第59回)十大新製品賞」では、人工知能(AI)技術のほか、3Dプリンター機能搭載の工作機械、新型ロボット、テロ対策製品など新市場の開拓に向け意欲的に開発されたものが選ばれた。贈賞式はきょう26日11時から東京・飯田橋のホテルグランドパレスで行われる。ここでは25日付紙面に掲載した受賞製品の紹介を続ける。
本賞に選ばれた安川電機の「7軸スポット溶接ロボット MOTOMAN―VS100」は、現在主流の6軸スポット溶接ロボットに新たに1軸を追加した新ロボット。アーム長の可変構造を採用し、6軸ロボットが苦手な手前側の有効動作領域を拡大し、ワークへの接近設置や製造ラインの省スペース化が可能。自動車ボディー向け溶接などでの活躍が期待される。
ヤマザキマザックの「量産部品加工省スペース・高速横形マシニングセンタ FF―5000/40」は、自動車部品の量産に最適な新型機として開発された。通常、機械の横に置く工具マガジンを機械上部に置くなどで機械幅を抑えた。主軸の早送り速度、早送り加速度をクラス最高レベルに高め、非切削時間を短縮して生産性も向上している。
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日本力(にっぽんぶらんど)賞に輝いたジェイテクトの「超大型横形マシニングセンタ FH1600SW5i」は、農機、建機、風力発電機、航空機、工作機械分野などの大型量産部品加工向け。最大振り直径3200ミリメートル、高さ2200ミリメートル、質量8000キログラムの工作物積載が可能。従来、門型マシニングセンターと横中ぐり盤の2台が必要だった大物部品の加工が一台に集約できる。
日立製作所の「ウォークスルー型爆発物探知装置」は、重要インフラ設備や公共施設など人の多い場所で本人認証用IDカードなどに付着した微粒子から爆発物の有無の検知を可能にした。爆発物を扱った人間が認証した場合、3秒以内に探知する。微量成分を全数検査できる実用機としては世界初。テロ対策の重要性が高まり、国内外で販売を計画している。
不二越の「ウィングスライサー型ロボット EZ03」は、通常の水平多関節(スカラ)型と一線を画す新構造のロボット。アーム根元にあたる第1軸で上下運動する独自方式を採用、先端部がより高速かつ柔軟に動ける。天井に設置でき、省スペース化が可能。最短動作経路を動くことで、他のスカラ型よりサイクルタイムを最大3割程度削減できる。
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モノづくり賞に輝いたシチズンマシナリーの「NC旋盤 L20 LFV仕様」は、金属加工時の切りくずがワークや工具にからみにくくする技術を搭載。独自開発した低周波振動切削(LFV)技術で加工時に工具を振動させ、切りくずを細かく分断するためからみにくい。切りくず処理はワークに傷をつける可能性があるなど、旋削業界の長年の課題を解決した。
ダイヘンの「無人搬送車(AGV)用ワイヤレス給電システム D―Broadシリーズ」は、工場で稼働するAGVに対し、生産ライン上で非接触自動給電を行える。産業機器分野で初めて、コイルとコンデンサーを組み合わせた回路を使う磁界共鳴方式を採用。位置ずれ許容範囲が広く、高効率に給電する。受電器は小型軽量でAGVへの設置が容易。
三菱重工工作機械の「微細レーザ加工機『ABLASER』」は、従来のレーザー加工では困難だったマイクロメートル単位の加工精度を達成。ピコ秒(ピコは1兆分の1)など超短パルスレーザーを使い、硬脆材料など非金属材料でも高精度で高品位加工が可能。レーザービームの軌道、照射位置や角度など精密に制御する独自技術を搭載している。
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中堅・中小企業賞に輝いた印南製作所の「全自動ポスター巻き機」は、毎時600枚のポスターを自動できれいに巻き取りテープ止めまでできる。ポスターを外から内へ巻く機構など、随所に独自技術が搭載されている。手作業の10倍の効率が上がる。広告宣伝ポスターを大量に印刷し支店などに発送する大手小売業などの作業負担軽減が可能となる初めての装置。
((上)は25日付4面に掲載)
(2017/1/26 05:00)