[ 政治・経済 ]
(2017/1/26 11:00)
【ワシントン時事】トランプ米大統領は25日、中南米からの不法移民流入を食い止めるため、メキシコ国境に壁を直ちに建設することなどを関係機関に指示した。国土安全保障省を訪れ、大統領令に署名した。不法移民に寛容だったとされるオバマ前大統領の路線から転換を図るものだ。
米国内の不法移民は1100万人を超えたとも言われている。壁建設は、2015年6月の大統領選出馬表明時にトランプ氏が打ち上げた看板政策で、保守層の支持を集め、大統領選勝利の原動力になった経緯がある。大統領としては、実現に迅速に取り組む姿勢を支持者にアピールする狙いがありそうだ。
大統領令は「物理的な壁の即時建設を通して南の国境を固めることを政府の政策とする」と明記。「法が許す限り、壁の計画、デザイン、建設に政府の資金を割り当てる」と記した。
米メディアによると、壁の建設費用は最大250億ドル(2兆8000億円)に達するとの推計もある。しかし、大統領は署名後、「米国はきょうを境に国境の管理権を取り戻す」と強調。署名に先立つ米メディアのインタビューでは、費用は最終的にメキシコ政府に払わせると繰り返し、数カ月中に壁建設に取りかかる方針を示した。
メキシコは既に支払いを拒否する立場を明確にしているが、大統領は31日にペニャニエト大統領と会談し、費用負担を求めたい考えだ。
一方、大統領令は壁建設に加え、不法移民の強制送還に非協力的な自治体への補助金交付を停止する措置も明記。①国境警備要員を5000人増員②不法移民拘束施設の増設③不法移民を釈放せず拘束する扱いの徹底―なども盛り込んだ。
ロイター通信によると、大統領は中東・アフリカ7カ国の人々へのビザ(査証)発給停止や難民の受け入れ停止といった措置も検討しており、週内にも別の文書に署名する見通しだ。
(2017/1/26 11:00)