[ オピニオン ]
(2017/2/3 05:00)
「私には得意なことが二つ。困難を克服すること。優秀な人材が最高の仕事をするよう動機づけること」―。米国のトランプ大統領は、自伝にそう記している。
謙虚を美徳とする日本人からみると大した自信だ。ただトランプ氏が、優れた人材に目がないのは事実らしい。自伝の中に、有能と認めた人物を過剰なほどに褒める場面が何度もある。
氏が認めるマティス国防長官が3日、来日する。政府高官によると、1月末の日米首脳の電話会談で、あいさつもそこそこに大統領が「とにかくマティスを送るから」と言ったのが印象的だったという。言葉の端々に「信頼が表れていた」そうだ。
マティス氏は元中央軍司令官。“狂犬”の異名もあるが、現場を知る優れた戦略家とされる。「与党・共和党だけでなく野党・民主党からも絶賛されている」(外交筋)人物で、議会承認が遅れているトランプ政権の閣僚の中でも、早々に承認を取りつけた。
トランプ大統領はロシアに融和的だが、マティス氏は一定の距離を置く。選挙期間中に繰り返し発言した在日米軍の駐留経費の負担拡大についても、マティス氏なら違う意見があるのではないか。霞が関は、そんな希望を込めながら新長官を迎える。
(2017/2/3 05:00)