[ 機械 ]
(2017/2/6 05:00)
三菱重工業は仏原子力大手アレバが設立する新会社に、約2億5000万ユーロ(約300億円)を出資することで大筋合意した。出資比率は5%。日本原燃も5%を出資する方向で最終調整している。三菱重工とアレバは1991年に燃料サイクル分野で合弁会社を設立するなど、長い協力関係を持つ。資本提携に踏み込むことで、アレバの経営を支援するとともに連携強化につなげる。
◆
三菱重工と日本原燃は、アレバがウランの採掘、濃縮、転換や使用済み核燃料の再処理を中核とする燃料サイクル事業を分社して設立する新会社「NewCo(ニューコ)」に資本参加する。
日本政府は高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉を決定したが、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル政策は維持する方針。こうした背景からも、両社は核燃料サイクルで最先端技術を持つアレバへの出資は有効と判断した。
三菱重工とアレバは07年に、折半出資の合弁会社「アトメア」を設立。最新鋭の110万キロワット級新型加圧水型軽水炉(PWR)「アトメア1」の開発を進めている。資本関係の構築で技術力や販売力を高めるほか、人材交流も進めていく。
アレバは世界各国で相次いだ原発建設の延期や中止を受けて経営が悪化、再建計画を進めている。仏政府は現在、アレバに9割近くを出資しているが、持ち分を7割程度まで引き下げ、残りを外国企業から募る考え。
三菱重工は今回の出資と並行して、アレバグループで原子炉製造を担うアレバNPへの出資も交渉中。300億円の出資に対する懐疑的な見方もあるが、原発は長期的にはインドや中国での需要拡大が期待できる。出資に見合う対価を受け取れるのか。今後の動向を注視する必要がある。
(2017/2/6 05:00)