[ オピニオン ]
(2017/2/10 05:00)
かつての日米貿易摩擦のような悪夢の再現は、何としても避けなければならない。
安倍晋三首相は米国のトランプ大統領と、現地時間の10日にワシントンで初めて会談する。安全保障分野の日米同盟の深化のほか、経済分野では2国間での通商問題、為替政策などが話し合われるとみられる。
先に来日したマティス国防長官との会談で安全保障の一定の協調は確認できた。一方、トランプ大統領は就任直後から「日本の自動車市場は不公正だ」との発言を繰り返しており、この問題が焦点になりそうだ。
訪米を前にして、安倍首相はトヨタ自動車の豊田章男社長と会食した。会談の内容は明らかにされていないが、豊田社長から北米での自動車生産計画や対米輸出について説明を受けたとみられる。“標的”にされたトヨタと日本政府、双方の危機感の表れだ。
トランプ氏は米フォードモーターのメキシコ工場建設撤回と米国での投資計画発表をツイッターでたたえた。一方で豊田社長が「今後5年間で米国に100億ドルの投資をする」「我々も米国メーカーの一つ」と表明しても反応しない。
フォードの最高経営責任者のマーク・フィールズ氏は、1999年から2002年まで日本でマツダの社長を務めた。当時、フォードと資本関係があったマツダをよみがえらせ、その手腕を評価されてCEOに就任した。マツダ副社長時代には国内販売を担当し、日本市場を知り尽くしている。にもかかわらずトランプ氏の日本市場批判に同調している。
米国は日本車の輸入に2・5%の関税を課すが、日本の自動車関税はゼロ。ドイツなど欧州車は好調だ。米自動車メーカーはトランプ氏のTPP離脱、ドル安政策を支持する前に、なぜ米国車が日本市場で人気を失ったかを自らに問うべきだ。
米市場で販売する日本車の6割は米国で生産し、150万人の雇用を生み出している。日本勢が米国内の雇用に多大な貢献をしている現実に、米国の官民は目をつぶるべきではない。
(2017/2/10 05:00)
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