[ 金融・商況 ]
(2017/2/14 05:00)
日経平均株価は年内2万円に達しない―。2016年末、ほとんどの証券トップが「17年の日経平均2万円超え」を予想する中、カブドットコム証券の齋藤正勝社長はただ一人、慎重な予測を打ち出していた。足元では「トランプ相場」も一服感が出始めており、その予測が現実味を帯び始めている。2万円未達を予測した根拠や証券業界が抱える課題について、齋藤社長に話を聞いた。
◇ ◇
―「2万円未達」の根拠は。
「安倍晋三政権の経済政策『アベノミクス』もトランプ米大統領の政策も、既に株価に織り込まれており、日本株をさらに上昇させる材料が見当たらないからだ。むしろ欧州や中国で問題が起きれば、株価は急降下するだろう。2万円に一瞬届くことはあるかもしれないが、継続的な上昇は考えにくい。証券会社の社長としては予想が外れてほしいが」
―「インターネット証券のビジネスモデルは頭打ち」との懸念も示されています。
「ネットに抵抗がない投資家は、既に大手証券からネット証券に移った。最近は大手もネット取引に力を入れており、株式投資においてネットと大手の差はほぼなくなりつつある。これ以上の成長を求めるには証券人口を増やすしかないが、残念ながら証券は世間のイメージが悪く一筋縄ではいかない。その点、保険やカードは業界イメージの構築がうまい。我々も学ばなければならない」
―証券人口を増やすには何が有効ですか。
「1株単位の取り扱いを広め、少額投資を実現するのが効果的だ。米国は、1株取引が可能だが、日本は最低100株での取引が求められるため、最低投資金額が数万円から数百万円になる。さらに言うなら5000円、1万円など金額単位で少額投資できるのが理想だ。法改正のハードルはあるが、社会人が数千円で投資できる状況を作らないと、株式投資は一般化しない」
―ネット証券の業界他社は、ロボアドバイザー(コンピューターによる自動運用)を使った資産運用ビジネスを始めています。
「現在のロボアドは、ただお勧めの投資信託やETF(上場投資信託)を紹介する機能に過ぎず、本当のロボアドに求められる売却タイミングのアドバイスがない。当社が投資一任運用型のロボアドをやるとしたら、投資家が損失を出した場合に手数料をもらわない成功報酬型のサービスにする」
【記者の目/分析力と洞察力に業界が注目】
齋藤社長は相場好調だった15年の年末にも「16年の日経平均は下がり、1万7000円までいく」と予測していた。実際は1万5000円割れで予想より悪かったが、他社が強気予想を出した中、的中と言っても良い洞察力だ。その分析力と歯に衣(きぬ)着せぬ物言いが、レガシーの多い証券業界を動かせるか。注目度が高まっている。(鳥羽田継之)
(2017/2/14 05:00)
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