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[ 科学技術・大学 ]
(2017/2/24 05:00)
日本大学理工学部の宮崎康行教授らは次世代アマチュア衛星通信技術の実証用超小型衛星「NEXUS」(ネクサス)を開発中だ。ネクサスには、消費電力を従来の半分の0・4ワット、1秒当たりのデータ転送量を従来比32倍の3万8400ビットとなるアマチュア無線送信機を積み、軌道上でパケット通信の実証実験を行う。
現在、超小型衛星はアマチュア無線と同じ周波数帯を使う。だがこの周波数帯を利用したデータ転送には写真を1枚送るのに数日かかることもある。そのためデータのやりとりの高速化が求められている。
こうした技術を地上でどのように役立てるのか。宮崎教授は「めったに行かない山奥などにセンサーを設置し、得た周囲の環境のデータをいったん宇宙に送り、そこから地上局にデータを戻すといった用途が考えられる。発展途上国でニーズがある」と強調する。
プロジェクトは2015年に始まり、日本アマチュア無線連盟(JARL)と日本アマチュア衛星通信協会(JAMSAT)が共同で開発や運用に携わっている。衛星の大きさは約10センチメートル角の立方体の形状で質量は1・3キログラム。現在、打ち上げ用ロケットを探しているという。
宮崎教授は「実証実験後、ソフトウエアや無線関連の企業を通じ、衛星や装置の販売を考えている。技術を公開し、他の人が作れるようにしたい」と実用化に向けた取り組みに意欲をみせる。
(冨井哲雄)
(金曜日に掲載)
(2017/2/24 05:00)
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