[ オピニオン ]
(2017/3/7 05:00)
家に着くころには、本格的な雨が降り始めていた。ポストをのぞくと宅配便の不在配達通知。申し訳ないと思いつつ、再配達を依頼する。誰しも経験があるだろう。
人手不足で宅配便の配達員の長時間労働問題が深刻になっている。ネット販売の急増がこれに拍車をかける。男女ともに職を持ち、ひとり暮らしが多い現代。日中は留守という家はざらで、配達希望時間も夜19時以降に集中する。
「日本人は水と安全はタダだと思っている」とは『日本人とユダヤ人』(山本書店刊)でよく知られた言葉。サービスも、似たようなものだ。もちろんミネラルウオーターの購買が普通になった現代の消費者は、安全やサービスも無料でないことを知っている。しかし対価を支払うのは限られた分野。
外食大手の一部はメニューに深夜価格を導入している。タクシーも深夜の割り増しが普通。宅配便の再配達や深夜のコンビニエンスストアの販売価格にも、なんらかの加算があっていい。
先頭を切って追加料金を導入することは、消費者相手の業界では抵抗があろう。“深夜税”のような一律加算ならどうか。少額のやりとりは電子決済で解決できよう。安すぎるサービスの是正は、産業界にとっても課題だ。
(2017/3/7 05:00)