[ オピニオン ]
(2017/3/8 05:00)
「キイテ」という車両形式名に、鉄道ファンならグッとくるはずだ。JR西日本が6月から運行を始める周遊型観光列車『トワイライトエクスプレス瑞風』。新造した87系ディーゼルハイブリッド車の両端を飾る「キイテ87」のキは気動車、イは一等車、テは展望車を表す。
新幹線が開通する前、東海道本線を走った特急列車の最後尾を飾ったのが「マイテ」や「スイテ」といった一等展望車だった。現在のグリーン車はかつての二等車。長く封印された伝統の最上級車両復活に、意気込みを感じる。
もっとも『瑞風』に人気が出るかどうかは、車両の豪華さだけでは予想できない。食事やサービスはどうか。車窓の風景や立ち寄り観光地に魅力があるかどうか。そしてなにより、旅先での人々とのふれあいによって旅客の印象は変わる。
周遊列車の先輩格、JR九州『ななつ星in九州』は、運行開始から3年を過ぎても好評。『瑞風』と同時デビューするJR東日本『トランスイート四季島』で行く北海道や甲信越の旅も魅力的だ。
『瑞風』が主に巡るのは中国地方。尾道や宮島、岩国など、瀬戸内海に面して多くの観光地が点在する。きらめく初夏の穏やかな海が、旅人を癒やしてほしい。
(2017/3/8 05:00)