[ 金融・商況 ]
(2017/3/15 05:00)
ウォール街の投機筋は米クレジット市場における次の空売り標的を見つけた。ショッピングモールだ。米国民がオンラインでの買い物を増やす中でショッピングモールが苦戦していることは周知の事実だ。こうしたモールが近いうちに債務負担に押しつぶされて倒れる可能性に、ヘッジファンドなどの投機筋が目を付け始めた。10年近く前の住宅保有者と同じ状況だ。
住宅ローン危機に向かっていた時期と同様に、破産によって一連のデフォルト(債務不履行)が引き起こされた場合に利益の出るポジションを組むグループが少しずつ増えつつある。サブプライム住宅ローンではなく、ショッピングモール運営会社の借り入れがその標的だ。メーシーズやJCペニーなど小売りチェーンの苦戦が伝えられる中で、商業用不動産ローン担保証券(CMBS)の空売りが増えている。
最近数週間に、アルダー・ヒル・マネジメントなどがCMBSの空売りを増やした。一つの指標によると、CMBSの中でリスクの高い2部分に対する空売りは先月53億ドル(約6080億円)に達した。1年前に比べ50%増えた。
ヘッジファンドに投資するギャップストウ・キャピタル・パートナーズの調査責任者、マイケル・ヤネル氏は「ショッピングモール向け融資の損失は他の分野に比べて顕著に高い」と指摘する。
ショッピングモール向け融資がサブプライム住宅ローンほどのバブルになっているわけではないが、仕組みは小説や映画で描かれた「世紀の空売り」と同じだ。
投資家はモール運営会社の返済が滞った場合のCMBSの損失に対してヘッジする保証を購入する。米証券保管振替機構(DTCC)によると、CMBSの高リスクの2タイプについてトレーダーらは今年に入り純ベースで9億8500万ドルの保証を購入。昨年末の3カ月に比べ5倍以上だった。(ブルームバーグ)
(2017/3/15 05:00)
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