[ 政治・経済 ]
(2017/3/16 12:30)
【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)は、2019年まで年3回ペースで着実に金利を引き上げる構えだ。しかし、トランプ政権下では大型減税などで景気が過熱する恐れもあり、想定通りに進むか予断を許さない。
米国の失業率は直近で4.7%と完全雇用を示す水準に低下。物価上昇率も目標の2%に接近する。こうした中でFRBは前回の利上げから3カ月で追加利上げを決断。1年を要した昨年に比べて、緩やかな成長持続への確信が強まったことを示した。
ただ、完全雇用状態で政権が大型減税や巨額インフラ投資を打ち出せば、景気は過熱する可能性がある。現状ではインフレ高進の兆候は見られないものの、人手不足が広がって賃金が上昇したり、企業が政策期待で設備投資を増やしたりすれば、インフレ圧力となって跳ね返る。
FRBが利上げを急げば、低金利に慣れ切った市場に冷や水を浴びせ、波乱要因となりかねない。トランプ相場が逆回転すれば、日本を含む世界各国の経済への波及も必至だ。
政権の通商政策で保護主義が強まれば、今度は景気失速への懸念が拡大する。中国や複数の選挙を控える欧州情勢が急変するリスクも消えていない。FRBは多大な不確実性を視野に入れながら、次の動きを探る。
(2017/3/16 12:30)