[ 政治・経済 ]
(2017/3/16 17:30)
【ハーグ時事】欧州で選挙が続く今年、極右の動向を占う最初の投票と注目を集めたオランダ下院選(定数150)は15日、投開票され、極右・自由党(PVV)が失速、ウィルダース党首が16日未明、敗北を認め事実上の幕が引かれた。オランダ通信(ANP)が伝えた中間集計(開票率約95%)に基づく予想獲得議席では、PVVは20議席にとどまった。中道右派の与党・自由民主党(VVD)は33議席で、ルッテ首相は「第1党の座を確保したようだ」と勝利宣言した。
昨年6月の英国の欧州連合(EU)離脱決定、同11月の米大統領選でのトランプ氏勝利を受け、ポピュリズムの動きが強まる中で実施された選挙だった。4月以降のフランス大統領選やドイツ連邦議会(下院)選、年内実施が見込まれるイタリア総選挙に与える影響に注目が集まった。
結果を受け、極右躍進を警戒したEU諸国では「過激主義に対抗する投票だった」(ユンケルEU欧州委員長)と安堵(あんど)が広がった。
一方、VVDと連立を組む労働党は現有35議席から9議席まで大きく減らす見通し。オランダは典型的な小党分立で、議席が各党に分散し、新政権は4党以上の連立が必要と予想されている。
主要政党は、イスラム系移民排斥や反EUを唱えるPVVとの連立を拒否。第1党のVVDを軸に連立交渉が始まるが、PVVも「連立を組む意欲はある」(ウィルダース氏)と主張、交渉が長引けば各党の思惑が絡み、難航しそうだ。
PVVは現有12議席から上積みしたものの、第1党をうかがう勢いだった事前の予想からは失速した。2010年の下院選で得た24議席にも届かず、ウィルダース氏は落胆の色を隠せなかった。
対照的にルッテ首相は盛んに笑顔を見せた。VVDは現有40議席は下回るが、PVV批判を強め巻き返しに成功。ルッテ氏は「英国のEU離脱決定や米大統領選と続いたポピュリズムの流れを食い止めた」と訴えた。
関心の高まりを反映し、投票率は前回12年の74・6%を上回り、過去30年で最高の81%だった。
(2017/3/16 17:30)