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[ 自動車・輸送機 ]
(2017/3/30 05:00)
タカタの再建計画の策定をめぐる協議が大詰めを迎えている。大口債権者の自動車メーカーやスポンサー候補は法的整理による再建を求め、タカタは私的整理を主張する。一方、製品の安定供給を支えるタカタの取引先では、足元のビジネスに影響が出始めている。エアバッグの品質問題が本格化してから間もなく3年。関係者には漂流する再建問題の早期解決と、サプライチェーンへの配慮が求められていると言えそうだ。
【先行きへの不安】
「落ち着かない」。タカタにエアバッグ素材を納める部材メーカーは再建の行方に気をもむ。国内外で取引があるプレス部品メーカーは、これまでのビジネスに大きな影響はないが、「明日はどうなるかは分からない」と先行きへの不安をにじませる。
一方、金属加工メーカーはタカタからの受注量が増えるなど取引は順調に推移するが、「問題が本格化した約2年前から設備投資に関する金融機関の審査が厳しくなっている」と打ち明ける。組み立て部品メーカーもタカタとの取引実態を伝えると、「工作機械メーカーの担当者から本社の稟議(りんぎ)が必要になると言われるようになった」という。両社ともタカタとの取引ではなく、間接的な影響でやりづらさを実感する。
【売掛金の回収】
「法的整理の場合は前払いでの取引をお願いすることになる」(部材メーカー)と、再建手法について法的整理では従来の取引が難しくなるとし、私的整理を望む声もある。金属加工メーカーは法的整理により売掛金が回収できなくなる恐れがあるとし、「あらかじめ売掛金の2カ月分の費用を金融機関から借りている」と対策を講じる。
東京商工リサーチがタカタグループと取引がある企業を対象に実施した調査によると、回答を得た51社の約9割が「現在の取引条件で取引を続けたい」と回答。タカタが法的整理となった場合、回答企業の約5割が「売掛金等の債権の全額弁済を望む」と答えた。
「法的整理になると連鎖倒産する企業も出てくるのでは」(加工メーカー)との声もあり、タカタが私的整理を求める根拠とする製品の安定供給への影響が懸念される。一方、再建手法に関わらず納める部品の形状はこれまでと変わらないとし、「供給先がタカタからスポンサーに変わるだけ」(金属加工メーカー)と冷静に受け止める向きもある。
【早期の合意点を】
エアバッグを膨らませる部品「インフレーター」に端を発したリコール(回収・無償修理)問題はシートベルトなど健全な事業を含め多くの取引先に影響を与えている。再建の行方が企業心理や実業に影響を及ぼす中、タカタ、車メーカー、スポンサーなど関係者は取引先にも配慮しながら、可能な限り早く合意点を見いだすことが期待されている。
(2017/3/30 05:00)
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