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[ エレクトロニクス ]
(2017/4/7 05:00)
東芝の半導体メモリー事業の売却交渉で、1次候補を絞り込む作業が佳境を迎えている。最大の焦点は過半数の株式の売却先だ。経済産業省は世界で競争力のある東芝のメモリー技術を重要だと位置付ける。だが現時点で日本企業からの提案はない。IoT(モノのインターネット)やインダストリー4・0などで半導体産業の裾野が広がる中、主導権を失うことは日本の競争力低下につながりかねない。(政年佐貴恵)
【海外勢が名乗り】
3月末で締め切った1次入札には、NAND型フラッシュメモリーの生産で協業する米ウエスタンデジタルなどの同業メーカー、米アップルなどの顧客に加え、台湾・鴻海精密工業や外資系ファンドなど10社程度が参加したもよう。日本政策投資銀行や産業革新機構も出資を検討しているとされるが、日本の事業会社の応札はなかったという。東芝幹部は「今後の産業の要であるメモリーに、誰も手を挙げないとは」と漏らす。
【最大の目的】
メモリービジネスで勝つ条件は、大きく二つある。年間数千億円規模の設備投資の継続と、次世代技術への研究開発投資だ。東芝のメモリー事業売却の最大の目的は傷んだ財務基盤を立て直すことだが、スポンサーを得ることで事業を成長させたい意向もある。「生産拠点の維持、設備や研究開発への投資も求める」(東芝幹部)との姿勢だ。
一方、かつて半導体事業で不振に陥り事業を切り出してきた日本企業は、再び浮沈の激しいメモリービジネスを手がけることに及び腰だ。得意分野に絞り込むことで、ようやく勝ちパターンを見いだしてきた状況で資金的余裕もない。
業界関係者は「米IBMのように生産は外部委託し、研究開発を維持すれば競争力は保てる」と話す。
しかしMRAMやReRAMといった次世代半導体の多くの研究開発機能は、メモリー新会社が手がける。一部の基礎研究機能は東芝に残るものの、その行方は売却先に左右される。
【難航が予測】
東芝は月内にも2次入札を行う見通し。売却額と17年度末までという時間的制約の板挟みで交渉は難航が予測され、売却先の決定は6月に開く予定の株主総会には間に合わないという見方も出ている。
この間に局面は変わるのか。国としての戦略が見えてこない状況に、関係者からは「日本が完敗したDRAMやシステムLSIの反省が生かされていない」との嘆きも聞こえる。
(2017/4/7 05:00)
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