[ オピニオン ]
(2017/4/25 05:00)
5月7日に投開票される仏大統領選の決選投票は、中道・独立系のマクロン前経済相と極右政党・国民戦線のルペン党首の一騎打ちとなる。世界経済の萎縮に直結する保護主義の流れを断ち切る上でも、有権者による賢明な選択を期待したい。
フランスが直面する課題は移民とテロばかりでない。停滞する経済の再生も喫緊の課題だ。「自国第一主義」に基づく過度の内向き志向に陥り、英国に続いて欧州連合(EU)を離脱するような事態となれば、EUの崩壊につながりかねない。
3月にドイツで開かれた主要20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議(G20)では「あらゆる保護主義に対抗する」との表現が共同声明から削除され、先週末に閉幕した国際通貨基金(IMF)の国際通貨金融委員会でも反保護主義の記述が消えた。トランプ米政権の意向を反映したものだ。
トランプ政権は中国の為替操作国指定は避けたが、これは緊迫化する北朝鮮情勢を見据えてのことだ。日米経済対話では将来的な自由貿易協定(FTA)の締結に意欲を示し、自国の国益を最優先する基本方針に変化はない。
一方、3月のオランダ総選挙では極右・自由党が敗退するなど、保護主義の流れを緩和する動きも出ている。仏大統領選での同国民の選択は、世界が今後も自由貿易を維持・発展させていけるかどうかの重要な里程標になるだろう。
2008年のリーマン・ショック以降、主要国は世界規模で進んだ保護主義の是正に動き、経済連携を強化してきた。貿易・投資ルールの国際標準となる環太平洋連携協定(TPP)は、そうした動きの代表的なものだ。ただ米国がTPP離脱を決めたことで、再び自由貿易に暗雲が立ちこめている。
日本としては、米国を除いた11カ国によるTPP発効をにらみつつ、日EU経済連携協定(EPA)の早期の大筋合意を目指すことが肝要だ。政府には自由貿易の推進に向けた指導力と、したたかな交渉力が求められる。
(2017/4/25 05:00)
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