[ オピニオン ]
(2017/4/26 05:00)
原子力発電所の再稼働に向けた準備が各地で進んでいる。政府は、次の原子力のあり方を議論する段階ではないか。
関西電力は25日、高浜原発(福井県高浜町)3、4号機を5月下旬以降に再稼働すると地元の福井県知事らに報告。同意を得た。すでに再稼働を禁じた仮処分については3月末に大阪高等裁判所が取り消している。
24日には九州電力の玄海原発(佐賀県玄海町)3、4号機再稼働に佐賀県知事が同意を表明している。厳しい新規制後の再稼働第1号となった川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機に続くもので、九電は年内の再稼働を目指す。
他にも四国電力の伊方原発(愛媛県伊方町)などが新基準をクリアしている。2011年の東日本大震災後、混乱が続いてきた日本の電力供給が、一歩ずつ正常化に向かっていることを歓迎する。産業界は安価で安定した電力供給を期待しており、電力会社は安全確保を第一に、既存原発をしっかり運用してもらいたい。
ただ問題は今後である。再稼働がみえてきたのは、東日本大震災で事故を起こした沸騰水型原子炉(BWR)と炉型が異なる加圧水型原子炉(PWR)だけで、西日本に偏っている。また既存原発の中でも、特に地元との関係が良好な原発が先行した。東日本での再稼働を、関係者の理解を得て実現できるかどうかが、次の大きなハードルになる。
運転開始から40年を超えた原発の寿命延長や、新増設・リプレースも課題だ。政府はエネルギー基本計画の中で原発比率を20―22%に設定したが、これは既存原発を40年間で廃炉していくと届かないレベルだ。
延命もひとつの方法だが、小型の老朽原発を新たな大型原発に置き換えて集約すれば、事故の危険はさらに遠のく。また廃炉費用を捻出するためにも、より効率のいい後継システムが求められよう。
原発の正常化により、電力不足の不安は解消しつつある。政府はこれに安住することなく、将来像を検討すべきである。
(2017/4/26 05:00)
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