[ オピニオン ]
(2017/4/27 05:00)
28年ぶりにアニメ化されて放送中の『笑ゥせぇるすまん』。主役の喪黒福造(もぐろふくぞう)は「ココロのスキマ、お埋めします」をキャッチコピーに客と契約、約束違反をとがめて『ドーン!!』と窮地に陥れる。
ただ現実に隙間を埋めるビジネスは、このブラックコメディーほど産業界から否定的に見られていない。競合の少ないブルーオーシャンを突き進み、順調に成長する企業がある。
赤地に白字の看板が印象的な貸し会議室大手・TKPもその一つだ。自前の会議施設は稼働時間が短くて無駄が多い。一時的にセミナー会場がほしい。外出時に落ち着いた商談スペースがあれば…などのニッチ需要に応えて業績を伸ばした。
東京都心を歩くと、時折かつての著名企業の拠点が貸し会議室になっていることを発見する。シャープの支社があった東京・市ケ谷のビルは、今はTKPの本社と直営施設。同社は出張時に利用しやすいJR東京駅周辺だけで8施設を抱える。
市場の小さいニッチ産業には成長限界がある。ブルーオーシャンが失われるまでに、どれだけ事業基盤を築けるかがカギだろう。先月、東証マザーズに上場したTKPはブラックにはほど遠いが、上手なセールスでビジネスに笑顔を広めてほしい。
(2017/4/27 05:00)