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[ 科学技術・大学 ]
(2017/5/26 05:00)
熊本大学大学院先端科学研究部の渡邉智助教と國武雅司教授らは、多波長で制御できる光熱応答性高分子アクチュエーターを開発した。4種の近赤外光で曲げや伸縮などの動きを制御できる。薬剤放出デバイスや微小サイズの医療ロボットなどの構成要素につながる。5年をめどに要素技術の確立を目指す。
近赤外光を希土類元素が吸収して熱にかえ局所的な温度が上がると高分子が収縮してアクチュエーターが曲がる仕組み。希土類元素は808ナノメートル(ナノは10億分の1)と980ナノメートル、1080ナノメートルなどの近赤外光を選択的に熱に変える。希土類元素を使い分けることで狙った部位を動かせる。
実験では太さ0・5ミリメートルのケーブル内部に局所的に希土類元素を配置し、ケーブルの片側に熱収縮高分子を配置した。30度Cの水中で近赤外光を当てると局所加熱されて35度Cを超えると曲がり始めた。高分子の配置を工夫すれば曲げや伸縮などの動きを作れる。
近赤外光は生体内を透過するため、体の中に医療デバイスを入れても外から遠隔制御可能。特定の波長で高分子を膨らませて血管を閉塞(へいそく)させ、別の波長で薬剤を放出して病原を死滅させるなど多段階の操作が可能になる。
(2017/5/26 05:00)