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[ 中小・ベンチャー ]
(2017/6/1 05:00)
【京都】半導体熱研究所(京都市中京区、福井彰代表、080・1405・5615)は、高効率のパワー半導体モジュール向け放熱基板を開発した。炭化ケイ素(SiC)半導体や窒化ガリウム(GaN)半導体の高温動作時でも、高い放熱性を実現する。電気自動車(EV)向けの絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などで、デバイスの小型化・高効率化に貢献できる。試作品も製作し、自動車関連メーカーへ提案を始めた。
開発した放熱基板は「ダーウィン300 GNZM・H」で、新構造のモリブデン銅(CuMo)を採用した。モリブデン素材の基板に貫通穴を設けて銅を埋め込み、基板表面を銅で覆う。Z軸方向の熱伝導率を高めて冷却装置に熱を効率よく伝達。モジュールの動作温度が300度Cの高温となっても熱伝導率の低下を抑えることができる。
また、電気伝導率も高めたことで「放熱基板」と「電極」を一体化した構造を実現。一般的なIGBTで使われる絶縁回路基板やリード線が不要となり、安価な樹脂製絶縁シートで対応できる。EV向けのIGBTで実用化が進む「両面冷却方式」にも対応する。
現在、放熱基板の素材としてはCuMoの他にタングステン銅(CuW)や炭化ケイ素アルミニウム(AlSiC)などの素材が多く使用される。ただ、温度が上昇すると熱伝導率が低下することが課題となっていた。
半導体熱研究所は放熱基板として、通信向け用途に適したタイプや、金属ダイヤモンドを素材とした次世代タイプなどの開発も進めている。
(2017/6/1 05:00)