[ 中小・ベンチャー ]

清本鐵工、中国事業継続20周年 トップの熱意・信頼構築、奏功

(2017/6/6 05:00)

  • 大連清本鐵工の工場

清本鐵工(宮崎県延岡市、清本英男社長、0982・24・1111)の中国での事業が開始から20年を迎えた。1997年に鋳鋼製品の工場を買収し、その後に汚水処理事業にも進出した。商慣習の違いや政治的な問題で疲弊し、中国事業から撤退する企業は多い。その中で同社は、どのようにして事業基盤を固めたのか。(大分支局長・宗健一郎)

【現地で高評価】

今年5月、清本鐵工は中国・大連市で子会社の創立20周年記念式典を開いた。約150人の参加者の中には大連保税区管理委員会など約20人の政府関係者らの姿も。公務員に対する接待に厳しい視線が注がれる中、一企業の宴席にこれだけの人数が出席するのは珍しい。このことからも清本鐵工のグループが現地で評価されていることがうかがえる。

【全て独立資本】

同社は大連市内で、鋳鋼製品メーカーに加え、汚水処理場の運営管理などを行う環境関連企業2社の合計3社を有している。ユニークなのは全て合弁ではなく独立資本であるということだ。

清本国義常務は「(97年)当時、合弁は難しいと聞いていた。規模が小さく、製造品の100%が日本向けだったから認められたのではないか」と話す。独資であることによって意思決定がスムーズに進んだ一方で「政府と良好な関係をつくるのには苦労した」(清本常務)という。 事業をスタートした当初は設備が壊れることも多く投資がかさんだ。それでも事業を継続したのは「経営トップが人任せにせず、熱心だったから」(清本邦夫専務)だ。

中国事業を伸展させるために清本賢介前会長や現社長の清本英男氏は何度も現地へ足を運び、時には政府関係者と杯を酌み交わした。独資の会社ながら公共事業である汚水処理事業を受注できたのは、培った信頼関係と苦労しながらも鋳鋼事業を継続してきたことの成果だろう。国内市場が収縮する中で成長を望むのであれば、アジアをはじめとする海外市場へ目を向けざるを得ない。「人間関係にも恵まれ、健闘している」(同)という同社の現状は、経営トップの強い意志が導いたと言える。

(2017/6/6 05:00)

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