[ ICT ]
(2017/6/7 15:30)
(ブルームバーグ)米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、米企業の海外利益を対象に現行税率よりも低い新連邦税率を導入するなら、全ての企業から強制的に徴収し、それによる税収を国内インフラ改善の財源に充てるべきだとの見解を示した。
クック氏は5日のブルームバーグテレビジョンとの独占インタビューで、「これは強制的な税にすべきだ」と発言。「つまり、海外子会社の利益を国内に還流したいかどうか尋ねるのではなく、今すぐに、もしくはある期限内に一定の率の税を納めなさいということだ」と説明した。
アップルの手元資金は2570億ドル(約28兆1000億円)で、その大半を米国外に留保している。クック氏を含む多くのCEOはこれまで、企業利益のレパトリエーション(本国還流)を促すトランプ大統領の取り組みを支持してきた。トランプ大統領は選挙戦中、米国企業が海外に既に積み上げた利益に対する1回限りの10%課税を提唱した。これは米国の法人所得税率の3分の1に満たない水準。
米国は大半の先進国と異なり、米国内だけでなく海外での利益に対しても35%の法人税を課しており、企業は海外の利益を米国に還流させると決めるまでは納税を先延ばしできる。このため、米企業が海外に留保している利益は現在、2兆6000億ドルに上ると推定されている。
クック氏は5日のインタビューで、トランプ大統領や議会共和党が賛意を示す「みなしレパトリ」税ルールを自分も支持すると発言。この方式では、企業の意向に関係なく利益を既に米国に還流させたと見なされ、自動的に納税を求められる。支払期間は数年とされるのがほぼ確実だ。
トランプ大統領と議会共和党は現在の税制度からの移行の一環として、みなしレパトリ税の導入を提案する。ただ最終的な税率はなお不透明であり、ライアン下院議長は現金および現金同等物については8.75%、より流動性の低い投資資産については3.5%を提唱している。
(2017/6/7 15:30)