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[ エレクトロニクス ]
(2017/6/11 08:00)
(ブルームバーグ)東芝のメモリー事業売却を巡り、合弁相手で他社への売却に反対してきた米ウエスタンデジタル(WD)が、追加的な譲歩を含む買収案を15日までに再提示する計画であることが分かった。株式での出資を断念するほか、産業革新機構を軸とする日米連合としての買収額を2兆円に引き上げる方針だ。
事情に詳しい関係者によると、WDは米投資ファンドや革新機構、日本政策投資銀行と協議の上、提示する。WDは株式取得をあきらめ数千億円規模の社債購入などで資金を提供する方針だ。9日のスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)と東芝の 綱川智社長との協議不調を受け、矢継ぎ早に再譲歩に踏み切る。
WDは同社の同意なしでメモリー事業を第三者に売却することは合弁契約に違反するとして国際仲裁裁判所に申し立て、東芝は対応措置に出るなど対立が先鋭化してきた。しかし、有力売却先の米ブロードコムが2兆2000億円を示す中、経営権取得などを主張し、買収提示額も低かったWDは急きょ譲歩に動き出した。
別の関係者によると、ミリガンCEOは9日の綱川社長との会談で、米投資ファンド、革新機構、政投銀の日米連合に合流し同陣営を前提とした買収案を提示。この中で①WDの出資は転換社債とする②従来案より買収価格を引き上げる③買収資金は来年3月までに払い込むーーなどの譲歩案を伝えた。これまでWDは1兆5000億円、日米連合は1兆8000億円を示していた。
その席では、東芝側から買収額が2兆円に届かないことなどへの不満が示されたという。一方、東芝幹部は9日夜、WDとの交渉について、WDは各国の独占禁止法の審査が通りやすくなるような譲歩案を示したものの、大きな進展はなかったとの認識を明らかにしていた。
債務超過解消のため4月に分社した東芝メモリ売却の2次入札では、米投資ファンドのKKR、米半導体のブロードコムが有力候補に浮上。他に台湾の 鴻海精密工業、米ファンドの ベインキャピタルの4陣営が応札した。革新機構や政投銀がKKRと組むことなどを模索していたが、WDとの対立が障害になっている。
(2017/6/11 08:00)