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[ 商社・流通・サービス ]
(2017/6/12 13:00)
(ブルームバーグ)三菱商事はオーストラリアで保有する発電用石炭(一般炭)事業権益のうち2つを売却する方針だ。スイスの資源商社グレンコアに9億2000万ドル(約1014億円)で売却する。資源事業における資産入れ替えの一環。2016年3月期に多額の減損損失を計上して以降、資源分野では鉄鋼用原料炭や銅などを中核分野と位置付け、それ以外の資産については売却も含めた入れ替えを加速している。
売却するのは豪ニューサウスウェールズ州のハンターバレーオペレーションズ炭鉱の権益32.4%と、同じくワークワース炭鉱の権益28.9%。ともに英豪系リオ・ティントが主導して、合弁事業を展開している。
両炭鉱を含めた一般炭事業を手掛けるリオの完全子会社コール・アンド・アライド・インダストリーズ(C&A)に対して、グレンコアが9日に買収案を提示した。グレンコアは買収が成立することを条件に、三菱商事が保有する両炭鉱の少数権益分についても買い取ることで合意したと発表。三菱商事の広報担当者も12日、両権益のグレンコアへの売却方針について確認した。
三菱商事は16年3月期に銅や液化天然ガス(LNG)など資源分野を中心に4260億円の一過性損失を計上し、初の最終赤字に陥った。それを受けて、資源事業では原料炭と銅、天然ガスを中核分野と位置付け、全体の投資残高を増やさずに資産の入れ替えに徹する方針を掲げた。これまでに、インドネシアの大規模ニッケル開発事業からの撤退を決めるなどしたほか、豪州での別の一般炭の保有権益についても売却の可能性を探っている。
垣内威彦社長は5月の決算会見で「資源分野で明確に中核となる事業を決めたことで、資産入れ替えのピッチは加速度的に速まっている」と述べていた。
リオは1月、C&Aを中国のエン州煤業傘下のヤンコール・オーストラリアに最大24億5000万ドルで売却することで合意していた。今回、グレンコアはヤンコールの条件を上回る25億5000万ドルでの対抗買収案を提示した形だ。リオがグレンコアの提案を受け入れた場合は、ヤンコールはさらに対抗案を提示することが可能。
(2017/6/12 13:00)