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[ 環境・エネルギー ]
(2017/6/12 15:30)
二酸化炭素(CO2)をもとに、炭化水素燃料などの原料となる一酸化炭素(CO)を効率よく作り出す低コスト金属触媒をスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究チームが開発した。水中に吹き込まれたCO2を電気分解する電力は、太陽電池から供給する。太陽光と地球温暖化ガスであるCO2から、有用な有機化合物を作り出す人工光合成に向けた一歩となる。
開発したのは、実用的な低コスト太陽電池として知られる「色素増感太陽電池」を発明したEPFLのマイケル・グラッツェル教授の研究チーム。酸化銅(CuO)のナノワイヤ表面に二酸化スズ(SnO2)の原子1個分の薄い層を設けた触媒を作製した。成果は5日付の科学誌ネイチャー・エナジーに発表した。
SnO2はありふれた材料であるだけでなく、このナノワイヤを電気分解の陽極(アノード)と陰極(カソード)に使ったところ、不要な副生成物の発生も抑えられたという。カソード側ではCO2からCO、アノード側では水から酸素(O2)が得られる。
この方式でCO2を分解してCOを作るのに、太陽電池から得られた電気エネルギーのうち13.4%が使われ、高いエネルギー効率が確認されたという。太陽電池には、太陽光の幅広い波長の光エネルギーを捉えるガリウム・インジウム・リン/ガリウム・ヒ素/ゲルマニウム(GaInP/GaAs/Ge)の3接合型太陽電池を使用した。研究には独シーメンスなどが資金供給している。
(2017/6/12 15:30)