[ ICT ]
(2017/6/18 17:30)
米エネルギー省(DOE)は次世代のスーパーコンピューター開発を推進するため、3年間で合計2億5800万ドル(約286億円)の資金をIBMやクレイなど米国企業6社に提供すると15日発表した。この分野では中国の躍進が際立っており、米国の優位が揺らぎかねない状況になってきていることが背景にある。
DOEでは研究開発を後押しすることで、現在最高性能のスパコンの50倍以上の演算処理能力を持ち、1秒間に100京(エクサ=1兆の100万倍)回の演算処理が行える「エクサスケール」のマシンを、2021年までに少なくとも1台完成させる計画だ。
資金供給先はIBM、クレイのほか、AMD、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)、インテル、エヌビディアの計6社。発表によると、スパコンは核兵器開発などの安全保障関連だけでなく、エネルギーや民間の産業競争力、さらに地球科学といった基礎科学も含め、米国のリーダーシップにとって極めて重要なことから、その技術開発を加速させる。
世界のスパコンの性能ランキングを6月、11月の年2回にわたって公表している「トップ500」によれば、2013年6月から直近の16年11月まで8回連続で中国のシステムが首位。とりわけ、それまでの「天河2号」に代わって2016年6月から1位になった国家並列計算機工学技術研究センター(NRCPC)開発の「神威・太湖之光」は、輸出規制を受けて米国製CPUが使えず、中国国産のCPUを採用したことでも世界を驚かせた。
同システムは93ペタフロップス(ペタは1000兆)の実行性能を持つといい、単純比較では、米オークリッジ国立研究所に設置された米国で最高性能の「タイタン」(クレイ製)の5倍以上の演算処理能力となる。さらにトップ500で500位以内にランクされたシステム数でも米中が伯仲し、時には中国が数で凌駕するなど、スパコン分野でも中国が米国の一番のライバルとなってきている。
(2017/6/18 17:30)