[ 政治・経済 ]
(2017/6/22 07:00)
(ブルームバーグ)車の差し押さえや賄賂。数日間に及ぶ遅延。インドで州境を越えて商品を移動させるのは容易なことでなく、経済成長の大きな障害となっている。
モディ首相がかつて知事だったグジャラート州に野菜を搭載したトラックが入る際、例え書類に不備がなくても、500ー2000ルピー(約860-3440円)の賄賂が要求される。トラック約400台で運送事業を手掛けるキャラバン・ロードウェーズのラケシュ・カウル副社長はこう述べる。
だがインドの州としては最も人口の多いウッタルプラデシュ州の収税官の脇を通る際はその額が2万ルピーにもなるという。それなりの人に袖の下を渡さなければ、時には5日間も州境で足止めされることもある。
これがカウル副社長や他のインド企業が、全国統一の物品サービス税(GST)が7月1日に導入されるのを心待ちにしている理由だ。1947年のインド独立後で最大の税制改革となる。州境で横行する無数の悪習を減らすのに役立つとともに、国内の取引を自由にし、ビジネスがしやすくなり、国の税収基盤も拡大するはずだ。
カウル副社長はニューデリーにあるオフィスで「書類がきちんとしていても、役人は小さな間違いを見つけ車を止めてしまう。GSTが導入されれば、そうしたことは全てなくなるだろう」と話してくれた。
2014年に発足したモディ政権にとっても、最大の経済改革だ。実施まで2週間を切ったが政府はまだ詳細を詰めている。企業側の用意ができていないとの懸念を踏まえ18日には、7月と8月については当初の書類記入要件を緩和すると発表。こうした期限ぎりぎりの微調整にもかかわらず、ジャイトリー財務相は21日、GSTの7月1日導入を確認した。
原題: Bribes, Borders and Middlemen: Why India’s GST Is a Game Changer(抜粋)
(2017/6/22 07:00)