[ 機械 ]

【型技術】特集 金型製造・部品成形における最新の合理化技術/HPC システムを用いた金型交換の効率化(上)

(2017/6/23 13:30)

  • 図1 名古屋市内にある樹齢 1,000 年を超える村上社のクスノキ

 当社は、1967年に創業し“お客様のモノづくりを支える省力設備の製造を通じ、関わるすべての人々の「豊かな和」を育みながら、自然と共存する人類の発展に貢献する”を理念に掲げ、HPC(Hard Plate Changer)式ダイホルダをはじめとした各種鍛造用設備の開発、製造を行っている。

 1981年に日本で初めて開発した油圧シリンダー内蔵のHPC式ダイホルダは、鍛造プレスにおける金型交換時間の短縮、省力化、省人化、省スペース化、安全性を飛躍的に向上させたシステムであり、現在では国内外で100ライン以上設置している。またHPCダイホルダの開発などの功績を評価され、2010年には愛知県の優れたモノづくり企業として「愛知ブランド企業」の認定を受けた。また、当社はさまざまな加工機械を保有しており、設計・開発から加工、組立てまで大半を社内にて行っている。

 社名の由来である「楠(クスノキ)」は、名古屋市の村上社にある長命で、30mを超える大樹である(図1)。このクスノキのように成長すべく、今後も実績、顧客の評価を踏まえ、改造・改良を加えながら鍛造業界の「コンシェルジュ」としてダイホルダのみならず、さまざまな要望に応えていくことで、顧客により多くの感動と満足とメリットを創造し、提供し続けることを目指している。

【楠精工(株) 近藤 裕基】

→特集 金型製造・部品成形における最新の合理化技術/HPC システムを用いた金型交換の効率化(下)

HPC システム開発の背景、経緯

 鍛造加工において、欠かせない作業として金型の交換、「段取り替え作業」がある。天井クレーンや金型専用の運搬台車などを用いて金型をプレス機内のダイホルダに搬入、固定を行う作業である。これらには2つの方法があり、一つは金型のみを交換する方法(内段取り)である。

 内段取りは、プレス機に取り付けられている金型を人間の手により、もしくは金型交換アーム(図2)などの治具を使用して、プレス機内部で交換する方法である。金型が人間の手で動かすことができる重量以下であれば一番早い交換方法だが、プレス機内部での作業となるので、作業性が悪く、大変な危険を伴う。

  • 図2 金型交換アーム

 もう一つがダイホルダごと交換する方法(外段取り)である。金型が人間の力で動かすことができないほど重い場合や、上記の危険作業を回避したい場合、金型が組み込まれているダイホルダごとプレス機から取り外して金型を交換する方法である。つまり、金型の交換をプレス機の外で行うので、「外段取り」と呼んでいる。

 外段取りを行うには2台のダイホルダが必要となるが、メリットとしてプレス機外のダイホルダにあらかじめ、次に鍛造する金型を準備しておき、鍛造終了後すぐにダイホルダごと交換することが可能である。だがこの場合、ダイホルダの重量は何tにもなるので、プレス機前にダイホルダ交換装置が必要となる。この交換方法は素早く(Quickly)、金型(DIE)を交換(Change)することができるので、QDC(クイックダイチェンジ)と呼び、交換装置のことをQDC装置と呼ぶ。プレス機から取り出した後、ダイホルダの上型を反転させて開いた状態にしてから、ダイホルダに組み込まれている金型を交換するので、作業は大変安全に行うことができる。しかし、ダイホルダは大型かつ大重量のため、ダイホルダ交換装置は大がかりなものになり、外されたダイホルダを保管するためには、広いスペースの確保が必要となる。

 そこでより早く、安全に金型交換を行うべく、HPCダイホルダ(図3)を開発した。ダイホルダ上下ともに油圧クランプ方式を採用している。

  • 図3  HPC ダイホルダ

型技術 2017年3月号より

→ MF-Tokyo2017特集

(2017/6/23 13:30)

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