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[ エレクトロニクス ]
(2017/6/29 05:00)
東芝が、半導体子会社「東芝メモリ」の売却に反対する米ウエスタンデジタル(WD)への対抗姿勢を鮮明にした。28日、WDが不正競争行為などを行っているとして総額1200億円を求める損害賠償等請求訴訟を東京地方裁判所に提起した。これまでWDとともに実施していた生産設備投資についても、新工場棟では東芝単独で行う選択肢を検討する考えを示した。東芝を提訴したWDに訴訟で対抗し和解につなげ、東芝メモリ売却を妨げるリスクを排除する意向だ。
東芝とWDは両社で設立した合弁会社で、四日市工場(三重県四日市市)を共同運営する。東芝によると、WDは東芝メモリの売却は合弁契約違反という「虚偽の事実」を入札関係者などに告知・流布しているという。これを信頼が毀損(きそん)される行為とし、東京地裁に差し止めを求めた。
また東芝は合弁事業や共同開発に関するWDの情報アクセスについて不正だと訴えている。WDは、2016年5月に東芝の合弁相手の米サンディスク(SD)を買収した。だが東芝によると同アクセス権について東芝との契約締結を拒み、SDを経由して機密情報を不正に取得し使用しているという。28日、WDからの情報アクセスを遮断する措置をとった。
また東芝メモリは、四日市工場に建設中の「第6製造棟」での生産設備投資と、建屋の2期投資を決めた。17年度に合計1800億円を投じる計画。
生産設備の共同投資についてWDと協議中だが「(協議が成立しない場合は)東芝メモリ単独で導入予定」とした。WDにとっては生産設備の投資に参加できないと製品調達が困難になり、経営へのインパクトは大きい。
東芝は東芝メモリ売却で産業革新機構を軸とする「日米韓連合」と優先交渉している。一方、WDは東芝メモリの売却差し止めを国際仲裁裁判所と、米カリフォルニア州上級裁判所に申し立てており、売却手続きの阻害要因となっている。東芝は対抗策を繰り出し、WDが訴訟を取り下げるよう促す考えだが、対立がより先鋭化する恐れもある。
(2017/6/29 05:00)