[ 政治・経済 ]
(2017/7/5 23:30)
【ブリュッセル時事】大詰めを迎えていた日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉は5日、大枠合意に達した。ブリュッセルで開いた閣僚協議で、難航していた農林水産品や鉱工業品の関税撤廃・削減が決着。日EUの国内総生産(GDP)は世界全体の3割を占め、米国離脱後の11カ国による環太平洋連携協定(TPP)をしのぐ巨大な自由貿易圏が誕生する。
安倍晋三首相は6日にブリュッセルでトゥスクEU大統領、ユンケル欧州委員長と首脳協議を開き、大枠合意を最終確認する。貿易や投資の促進を通じて日EU双方の経済成長を加速するだけでなく、世界的に強まる保護主義的な動きの歯止めにもなりそうだ。
岸田文雄外相は閣僚協議後、記者団に対し「大枠合意の達成を確認できた」と語った。EUのマルムストローム欧州委員(通商担当)は「閣僚レベルで政治合意に達した」とツイートした。
日欧EPA交渉は2013年4月に始まった。最終局面で欧州産チーズと日本車の市場開放をそれぞれ主張して事務レベル協議は難航。岸田外相やマルムストローム委員らによる閣僚協議に格上げし政治決着を模索した。1日まで2日間にわたって東京で開かれた閣僚協議は決着を持ち越し、岸田外相は首脳協議直前の5日にブリュッセル入りして再協議に臨んでいた。
安倍政権は、早期の国会承認を目指すとともに、乳製品や豚肉、木材などの市場開放で影響を受ける国内生産者らへの支援に取り組む。
対象となる全27分野のうち、双方の関心が高い関税など主要分野が妥結。企業と進出先の国との紛争処理手続きを定める「投資」など一部分野の調整は、首脳協議後に先送りする。
トランプ大統領の就任後に米国がTPPを離脱するなど、保護主義的な機運が強まっている。日EU双方は、自由貿易を推進するため、EPA交渉の妥結を急いでいた。
(2017/7/5 23:30)