[ オピニオン ]
(2017/7/13 05:00)
戦国時代後期、織田信長らが採用した「楽市楽座」政策は、今でいう規制改革だった。商工業者の同業者組合である「座」に属していなくても商売できるようにしたことで新規参入を促し、経済活性化を目指した。結果的に城下町は栄え、大きな効果があったと推察できる。
当時としては先進的な政策で、戦乱による荒廃からの復興に役立ったが、欠点もあった。時が経過するにつれて闇市が立つようになったり、領主に取り入る“御用商人”が横行したりしたことだ。
現代の規制改革の代表が戦略特区。小泉純一郎首相時代に原型が採用され、その後も制度を改めながら歴代政権の成長戦略の柱となっている。
特区を活用して大学の獣医学部新設を目指した加計学園が、安倍晋三首相との関係を問われて世間を騒がせている。確かに特区は特定の事業者に対する恩恵の側面があり、疑義を生じやすい。首相も脇が甘かったといわざるを得ない。
真相究明は当然だ。ただ、これが規制改革を嫌う一部省庁に利用され、特区制度そのものが悪者にされるようでは困る。日本の競争力強化に向けた望ましい規制改革のあり方や、本当に必要な産業政策の議論を尽くすことが、本来の政治の役目ではないか。
(2017/7/13 05:00)