- トップ
- エレクトロニクスニュース
- 記事詳細
[ エレクトロニクス ]
(2017/8/9 18:30)
主力3行融資枠、革新機構が債務保証
経営が悪化している中小型液晶大手ジャパンディスプレイ(JDI)は9日、石川県の能美工場の生産停止など製造拠点の統廃合と国内外で約3700人規模の人員を削減する再建計画を発表した。2018年3月期の業績予想は公表しなかったが、再建計画に伴う構造改革費用として約1700億円の特別損失を計上する方針で、純損益の大幅な赤字は避けられない。
主力取引銀行のみずほ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行が計1070億円の融資枠を設定し、再建を支援する。人員削減は海外約3500人、国内では約240人の希望退職を募る。能美工場は17年12月に液晶パネルの生産を停止し、有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルを扱う子会社JOLEDによる活用を検討する。
経営責任を明確にするため、東入来信博会長と有賀修二社長が8月から18年3月まで役員報酬を2割減額する。記者会見した東入来会長は「構造改革のラストチャンス。収益体質をつくり上げる」と強調。出遅れている有機ELの製造に向け、必要な投資を行うため、海外企業からの資本受け入れなどを検討する方針を表明した。
JDIの大株主である政府系ファンドの産業革新機構は「構造改革の完遂を支援する。必要な資金の調達についても債務保証という形で支援を行う」とのコメントを発表した。
米アップルなどの主要メーカーがスマートフォンに液晶ではなく有機ELを採用するため、JDIの18年3月期の売上高は前期比15~25%減となる見通し。構造改革で、年間の固定費を500億円削減し、20年3月期に営業利益400億円、営業利益率5%の達成を目指す。
同時に発表した17年4~6月期連結決算は純損益が314億5600万円の赤字(前年同期は117億7200万円の赤字)だった。(時事)
構造改革、最後の機会
東入来信博ジャパンディスプレイ(JDI)会長が9日行った記者会見の主なやりとりは次の通り。
構造改革はこれがラストチャンスと思っている。収益体質をつくり上げ、グローバル企業と関係を構築していく。
―抜本改革が遅れた原因は。
構造改革の実現には費用もかかる。これまで(の経営者)は目先の損益で判断し、できなかったのかもしれない。過去の過剰投資の修正はやらざるを得ない。
―今後、有機EL(エレクトロルミネッセンス)に注力するのか。
有機ELなくしてスマホビジネスの将来なし。戦略的にかじを切った。2019年度に量産化する。
―協業先はいつごろ決まるのか。資本提携の可能性もあるのか。
少なくとも17年度中にはめどを付けたい。一概に(協業先から)資本を投入してもらうことは考えていない。
―産業革新機構から追加出資を受ける可能性は。
それも選択肢だが、具体的に話をしているわけではない。
―中国企業との協業は。
十分あり得る。制約があるとは考えていない。
―人員削減について。
国内で240人の希望退職を募るが、全社で募集する。休止する能美工場で240人ということではない。
(2017/8/9 18:30)