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[ 商社・流通・サービス ]
(2017/8/18 05:00)
鉄道総合技術研究所(鉄道総研)は、複数路線の車両や地上設備など鉄道網全体の消費電力を予測するシミュレーションシステムの確立に取り組む。2018年にJR西日本の京阪神エリアで営業中のビッグデータ(大量データ)を使った実証に着手する。効果的な電力設備の配置や運転方法の検討に役立て、鉄道網全体で電力使用量を最適化する“鉄道版スマートグリッド”の実現につなげる。
鉄道総研はJR西日本の協力を得て、京阪神近郊区間“アーバンネットワーク”を対象に開発中の「列車運行電力シミュレーター」を適用する。これまでは単一路線で検証を重ね、実用性を高めてきた。複数の路線を大量の列車が走り、多くの電力設備が補完し合う大都市の鉄道網での実効性を確認する。
シミュレーターを使うことで、列車の運転操縦がエリア全体のエネ消費量に与える変化などを評価できる。区間ごとの標準運転モデルや、ダイヤ混乱時に最も有効な回復方法なども導き出せる。変電設備や蓄電設備の導入効果も検討できる。
シミュレーターは誤差15%以内の精度を目指す。結果を元にした標準運転モデルの採用など設備投資を伴わない改善で、現状比約1割の省エネ効果が見込めるという。JR西のアーバンネットワークにおける運転用電力消費量は年10億キロワット時程度と推定され、約1億キロワット時の省エネと動力費削減が期待できる。
鉄道の省エネルギー化は、回生電力を使う“省エネ車両”や加速時間を短くする“エコ運転”など主に部分最適が進んだ。政府は鉄道分野で30年に10年比2割の省エネ目標を掲げる。この達成には、電力設備と列車群のリアルタイム情報に基づくエリア全体のエネ制御が不可欠となる。
鉄道総研はこれまで電力、車両、運転の分野別にシミュレーターを確立してきた。しかし実際の運用では三つの要素が複雑に影響し合うことから、それぞれのノウハウを組み合わせて統合シミュレーターの開発に至った。
(2017/8/18 05:00)
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