[ 機械 ]
(2017/8/23 05:00)
設計開発ソフトウエア業界各社で、工場のIoT(モノのインターネット)化や生産工程の効率化ができるソフトウエアの開発が活発化している。設計から生産、品質管理の情報をリアルタイムで接続して、製品不良の削減や設備効率の改善などを図れる。工場のスマート化の促進が課題になっている製造業者が多い中、製品ライフサイクル管理(PLM)などの設計開発工程のノウハウを生かしたソリューションの提供が期待される。(田中明夫)
【21年500億円市場】
富士キメラ総研(東京都中央区)の資料によれば、生産データなどを活用する工場向けIoTソリューションの国内市場規模は、2021年度に500億円(16年度比5倍)に拡大の見通し。足元では関連ソフトウエアの提供が活発化している。
PTCジャパン(東京都新宿区)は、工場の稼働データなどを収集できるIoTプラットフォーム「ThingWorx(シングワークス)」を展開。同プラットフォームは、製造実行システム(MES)や統合業務パッケージ(ERP)などの生産計画や製品設計、品質などの管理システムとも接続できる。このため、故障した製品が、いつ、どのラインで生産されたのかを直ちに把握し、改善につなげられる。IoT/M2M営業技術部の山田篤伸部長は、「製品不具合などの品質管理の部門と生産ラインがリアルタイムでつながっていないメーカーが多い。そこを埋めることが工場IoTに期待されている」と指摘。
ダッソー・システムズ(東京都品川区)は、工場でのロボット配置や生産ラインの稼働をシミュレーションできるソフト「DELMIA(デルミア)」を展開。同ソフトでは、工程ごとの生産時間やコストなどを工場間で比較検証して、生産改善を図れる。国内では航空機部品メーカーの工場などで導入が進んでいる。
【コンサル力必要】
また、同社は、製造・販売や品質の情報などを管理して、生産工程設計と生産計画をつなぐMESソフトも提供。同ソフトを導入した海外の機械メーカーは、資材調達や在庫管理の効率化などで導入初年度に1200万ドルのコスト削減を達成したという。
CADなどのベンダーが工場生産の管理ソリューションも手がけることで、設計から生産、品質管理までの工程を効果的につなげる環境が整いつつある。
だが、各工程や部門間では設備やシステム、情報の種類などが異なるため、ソフトウエアの提供だけでは生産の効率化が進まないのが実態だ。そのため、一部の成功事例など各種製造業のノウハウが集まるソフトウエア各社には、コンサルティング力の発揮も期待される。
(2017/8/23 05:00)
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