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[ 科学技術・大学 ]
(2017/9/5 05:00)
東京大学の大学院理学系研究科の小澤岳昌教授と科学警察研究所の高村彩里研究員、京都府立医科大学の池谷博教授らは、犯罪現場に残された血液が生きていた時に流れたものか、死んでから流れたものか判別する分析に人工知能(AI)技術を活用し、精度を向上させた。血液に赤外光を当てて赤外スペクトルを解析する。目視では見分けられない生体血と死体血を分別する因子を、AIで探り当てた。精液や尿、唾液などの体液の識別にも今後、応用する。
その場で生きた状態で出血したのか、別の場所で殺害された後に損壊され出血したのか判別できると、血痕の犯罪性や犯行の経緯の推定に役立つ。そこで生体血と死体血をガラスや木綿生地、ポリエステル生地上で計測し、赤外スペクトルを調べた。
まず下地の信号を排除し、各試料の特徴が際立つような波長群を選び出して生体血と死体血を識別する。AI技術の一つである遺伝的アルゴリズムで識別に重要な信号を特定すると、死後乳酸が血中で増加することがスペクトルの違いに現れていると示唆された。
現在は生体血10個と死体血12個で解析し、基礎的な原理実証に成功した段階。より多くのサンプル数を学習させ信頼性を高めていく。赤外分光法は非破壊で検査できるため、さまざまな試料に利用してデータを蓄積しやすい。9日から東京都葛飾区の東京理科大学葛飾キャンパスで開かれる日本分析化学会年会で詳細を発表する。
(2017/9/5 05:00)