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[ 科学技術・大学 ]
(2017/9/12 05:00)
東京大学大学院総合文化研究科の佐藤守俊教授らは、全遺伝情報(ゲノム)を自由に書き換えるゲノム編集技術を応用し、iPS細胞に光刺激を与えて遺伝子の発現を操作し、神経細胞に分化させる技術を開発した。光刺激を使う技術により、iPS細胞だけでなく、多様な種類の細胞分化を誘導する基盤技術として応用が期待できる。
研究グループは以前、光刺激によって遺伝子発現を操作する技術を開発していたが、従来手法では遺伝子発現の効率が不十分であった。細胞分化の再現には、より強い遺伝子発現の活性化が必要とされていた。
そこで今回は発現させる遺伝子に連結するたんぱく質「dCas9」に着目。これを2分割し、それぞれに光刺激に反応して結合するたんぱく質を新たに加えた。
加工したたんぱく質に青色の光刺激を与えると、融合したdCas9と、dCas9の案内役となる「ガイドRNA」が狙った遺伝子の上流に集合し、発現を活性化した。
さらに新手法では、転写を活性化する因子3個を同時に集めることに成功し、ゲノム遺伝子の発現効率を高くすることに成功している。従来は1個だけだった。
研究成果は、12日、米科学誌ネイチャー・メソッズに掲載される。
(2017/9/12 05:00)