[ オピニオン ]
(2017/9/15 05:00)
1992年から旭硝子財団が毎年発表している「環境危機時計」の針が、昨年より2分進み、9時33分を指した。92年の7時49分から1時間44分も進み、2008年と並んで最も針が進んだ。
世界の環境有識者を対象に「人類存続の危機に関する認識」を調査した結果で、今年は2152人が回答した。零時1分―3時は「不安なし」、3時1分―6時は「少し不安」、6時1分―9時は「かなり不安」、9時1分―12時は「極めて不安」という区分けである。
世代別では、11年に8時台だった20―30代の危機時刻が9時32分まで進んだのが目立つ。今世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目標としたパリ協定が、昨年11月に発効したにもかかわらずだ。
危機時刻を決める上で、米国回答者の8割、全体の過半数が米大統領選以降の政治状況に影響を受けたと答えた。温室効果ガス大量排出国の協定離脱表明は、大きな衝撃を与えた。
ただ米国でも、州や企業が協定順守を目指す動きが出ている。時間を戻すことはできないが、環境危機時計の針は戻せる。不安を感じている若者や生まれてくる子どもたちのためにも、始発電車とは言わないが、朝のラッシュ時間帯ぐらいには戻したい。
(2017/9/15 05:00)